学際知の地平

ポストモダン・ポストナショナル・ポストグーテンベルク・ポストヒューマンな時代に不気味な民主主義を考える

ミクロ的問題が根源にある

先日、僕は「学力崩壊の大学教授」という記事の中で、討論をする際には、①事実に基づいた認識、②理想(目的)と現実(手段)を明確にすること、③自分の都合の悪い事実や意見こそ重視する、という3点が非常に尊重されなければならないと主張し、憶測や推測で…

舛添知事問題

都知事が問題になるという珍妙な出来事が起きている。センテンス・スプリングこと文春の記事に発端を持つこの問題であるが4月29日の「舛添都知事、ありがとう」の記事内でも書いたが、これは法律問題でも政治問題でもなく、モラルの問題であると僕は主張し…

学力崩壊の大学教授

毎週月曜の23:15から放送されている「橋下×羽鳥の新番組(仮)」を視聴している。久しぶりに「まともな討論番組」かと期待していたのだが、レベルの低い大学教授の出演によって、その質を大いに下げられていることが不満だ。 森永卓郎教授は「論客」という…

米大統領専用車

伊勢志摩サミットが始まるのに合わせ、オバマ米大統領の専用車も日本にやってきた。今回は、その車についてメモを残しておきたい。あちこちからの情報のツギハギになるが、メモを残す価値はあるだろう。まずは外観である。 立派な車である。キャデラックとい…

皮肉は潤滑油

上の画像は、左が東京オリンピック2020のロゴ、右はアメリカの雑誌の表紙で、招致を巡る過程の中で疑惑があったとされる贈収賄疑惑を皮肉ったもの。ロゴの部分が一万円札になっている。札束が飛び交ったとされる疑惑報道の象徴的な図柄となっている。 皮肉と…

アメリカの伝統

5月5日の菖蒲湯から上がり、菖蒲の残り香を楽しみながらネット・サーフィンをしていると、面白い画像が飛び込んできた。 上の画像はアメリカのタブロイド紙の一面見出しだが、共和党のシンボル「象」が死んだという記事になっている。少し訳出してみよう。…

憲法記念日に思うこと

昨日の憲法記念日をきっかけとして、憲法に関する言説をいくつか見かけた。いわゆる護憲派か改憲派かというあたりに焦点があるようだ。そこで、ちょっと考察をしてみたい。 1945年以降に限って国際比較をすると、アメリカは6回、カナダは1867年憲法が17回、…

舛添都知事、ありがとう

4月26日、週刊文春WEBで舛添都知事の「公用車で温泉地の別荘通い」がスクープされた。いわく「知事の職責は都政全般にわたる広範なものであり、時間や場所を問わない。週末には、その週の業務のまとめと翌週の公務のための準備を世田谷や湯河原の事務所…

形式と気持ち

およそ2週間ぶりの更新となります。やはり4月という年度初めはイレギュラーなことが多く、てんてこ舞いになってしまいます。いろいろと回りません。ご迷惑をおかけしました。 さて、新学期が始まり、新しい出会いもたくさんありました。大学生とはいえ、先…

違和感

昨夜21時26分頃、九州熊本県で最大震度7を記録する地震が起きた。震度7は阪神淡路大震災、新潟県中越地震、東日本大震災に続く4回目であり、余震も規模と回数がきわめて多いようだ。まずは犠牲者の冥福を祈り、被災者にお見舞いを申し上げる。 こうした報…

道徳と倫理

最近、とある学生が宗教について考えていて、彼の専門(シティズンシップ教育)からしても、「公」「公共」との関わりから重要である「倫理」とか「道徳」というものについて考える機会を得たので、それをここに記しておきたい。 西洋思想で言えば、この両者…

英語の力

中高生の英語力、国の目標に届かず…文科省発表 文部科学省は4日、全国の中高生らを対象にした2015年度の「英語教育実施状況調査」結果を発表した。 高校3年生で「実用英語技能検定(英検)準2級程度」以上の英語力を持つ生徒は34.3%、中学3年生で「英検…

新年度始動!

新年度が始まりました。 おかげさまで当ブログも一日の訪問者数が1000人を超えるようになり、一ヶ月のアクセス数が3月のもので3万人を超えています。これもすべて、読者の皆様の支えあってのことと感謝しております。今度は月のアクセスを5万人にして、社…

差別とはなにか

NHKの連続テレビ小説「あさが来た」がいよいよ最終週になる。月曜~土曜まで毎回を楽しみに視聴してきたので、とても悲しい(涙)。明治創世期の日本がどのような歩みを進めてきたのか、教科書にはない地方の話を知れるだけでなく、そこに生きた人々の姿を…

結果を求める前に

人を説得するには、「筋道」「論理」が必要である。建前の世界では、つまり現実の実生活の中では「論理的に筋道を通すこと」が社会的関係を築く上でとても重要である。似たような言葉で「理屈」があるが、「屈」は捻じ曲げるという意を持つので、筋道を捻じ…

フーコーさんは言いました

「自己監視システム」は近代以降の人間社会のどこにでも見られる。自分の中に監視者がいて、その監視者がもう一人の自分を常に監視しているシステムのことです。これは日常的には「自律」とか「良心」という言葉で表現されているようなものです。 そもそも、…

対立視点を知ること

昨日の投稿で、知識を集めるということは、深い考察に繋がると書いた。これは知的作業には欠かせないことではあるが、人間の器を育てるためにも重要なことだと感じている。これができると、実は感情的にならないで済むようになるからだ。穏やかで落ち着いた…

知識の集め方

知識を得ることはとても大切である。インプットがなければアウトプットすることもできないし、アウトプットはインプットよりも少ないものになるから、インプットしていく知識は多いほどよい。ここに読書の必要性がある。読書習慣のあるなしは、その人の人生…

就職活動の勘どころ

昨日の記事への補足を少ししたいと思います。昨日の「本当の自分」=「理想の自分」は、就職活動で言えば、「就職したらどんな職員になりたいですか?」や「理想の社会人像はどんなものですか?」という質問に対応するし、志望動機に結び付けることもできま…

本当の自分と、その作り方

「本当の自分」なるものを求めて1人旅に出る、と時折聞くことがあります。あるいは就職活動を始めたばかりの学生が「僕は何になりたいのか」「本当の僕は何に向いているのだろう」というような疑問に直面している姿に出会う機会があります。そうした時に僕…

伝えたいもの

二宮金次郎と言えば、働いている時間も惜しんで熱心に勉強に取り組んだという勤勉精神を代表する人物である。この勤勉を奨励するために全国各地の学校の校庭に二宮金次郎像の設置が進められてきた。そして、昨日、栃木県日光市の学校に新しく設置された二宮…

モノの見方の在り方

今日、中国で全国人民代表大会が開かれる。ここでは格差社会の貧困層への対策が一つの目玉になっている。日本での格差社会など比ではない。爆買をしに日本に来る人たちがいる一方で、およそ7000万人が年収4万円で生活している。月収に直して約3300円である…

「2ちゃんねる」を好きな理由

僕は結構「2ちゃんねる」が好きだ。一つには歯に衣を着せない本音が垣間見えるからだ。本来であれば口にすると社会的関係が傷ついたり人格を疑われたりすることから表に出せない感情を、匿名掲示板ゆえに率直に表に出しているからである。人は理屈通りには…

ワシントンへの不信と不満

以前の記事『今のアメリカの姿』で一度記事にしたが、今日は再びアメリカ大統領選挙を取り上げてみようと思う。以前の記事では、僕はトランプ氏を率直さと愚かさと傲慢さを持った「強いアメリカ」を体現する「アメリカ人らしいアメリカ人」と評した。そして…

信念について

「信念」は英語で表すとfaith、beliefである。faithはラテン語で「信じること(fides)」が語源であり、これは「信仰」という意味により近い。beliefはドイツ語の「神を信じる」というglaubenが元になったとも言われている(他説あり)。ということは、西洋に…

人口問題と資本主義

昨日発表された国勢調査の結果で、日本の人口が1億2711万人となり、1920年の調査開始以来はじめて人口減となったと報道された。ここで注意しておきたいのは、この数値には外国人も含む総人口の減少ということである。死亡者数が出生者数を上回る自然減は200…

ドラッカーから学ぶこと

経営学の神様、ドラッカーのセリフに「未来に何かを起こすには、勇気と努力と信念が必要である」というのがある。これに初めて接した時、勇気と努力にはなにも感じず、それはそうだよな程度の感想であったが、「信念」という文字が続いて出てきたとき、はっ…

経済構造のパラダイムシフトと人材育成

久しぶりの読書録である。今回取り上げるのは次の書籍である。 なぜローカル経済から日本は甦るのか (PHP新書) 作者: 冨山和彦 出版社/メーカー: PHP研究所 発売日: 2014/06/14 メディア: 新書 この商品を含むブログ (12件) を見る これまで経済学では世界を…

朱に交わりながらも赤くならず

昨日の投稿に読者モルガンさんからのコメントが付いたので、それについて、今日は「僕の回答」という形で寄稿してみようと思います。 雇用・労働形態においては私も日々苦しんでおります。そこでこの終身雇用の撤廃やダブル・スタンダードの導入は非常に良案…

ダブル・スタンダードな政策を

国民1人当たりのGNPの比較をしてみる。 日本円に換算すると、およそ385万円である。もちろん、2009年に日本を抜いてGDP世界第二位となった中国の一人あたりのGDPには悲しいものがあるが、世界第三位の日本とてイタリア・スペインにかろうじて勝っている程度…