学際知の地平

ポストモダン・ポストナショナル・ポストグーテンベルク・ポストヒューマンな時代に不気味な民主主義を考える

2015-11-01から1ヶ月間の記事一覧

感性は教養に裏打ちを受ける

なにを美しいと感じるかは、実は対象物に拠るものではない。美は対象物それ自体に内在しているものではなく、受け手がそれをどのように受け止めるかにかかっている。つまり、同じものを見ても、それを美しいと感じるかどうかは、観察者に拠るのである。なに…

マナーの瓦解

僕は電車通勤をしているのだが、最近、つとにいろいろな場面でマナーの悪い人に出会う。マナーは道徳心の問題でもあり、よく言われているのは「若者のマナーの悪さ」である。しかし、ふと気が付いたことがある。マナーが悪いのは50代以上のおじさんやおばさ…

価値観の対立が行き着くところ

18日に投稿した「パリ同時テロについて」の記事の中で、僕は話し合いができないほどに価値観に隔たりがあり、軍隊同士の戦いのうちは引き際や交渉が成り立つが、全面降伏か皆殺しかという選択肢しか理論的には成立しないと書いた。「軍隊同士の戦いのうち」…

制度とその運用

僕の専門は「比較制度論」なのですが、「制度論」なんてものをしていると、時々、虚しくなることがある。というのは、結局は「運用している人の問題」に行き着くからだ。どのような制度を制定するにしろ、そこには必ず運用する人の存在と離れて存在すること…

パリ同時テロについて

パリで悲惨な事件が起きた。これに関する考察をする前に、まずは犠牲者に哀悼の意を捧げ、遺族に弔意を表し、そして今なお生死の境をさまよう人たちの回復を願う。 今回のテロ事件を振り返るに、僕は最初に第二次世界大戦時のヒットラーを思い出した。ヒット…

反省するということ

一週間ぶりの更新である。やや日常の忙しさにかまけて、ブログから遠ざかってしまっていた。このことを反省する意味でも、今回は反省ということを考えてみようと思う。 われわれの精神活動では、後ろを振り返ってよくよく思い患うという表れ方をすることが非…

鳥瞰図の入手方法

頭がいいっていうのは、鳥瞰図(長期的ないし大局的なものの見方)を頭に描きだせることである。一つの事象を聞いて、他の9つのことに思考を巡らせられることである。個別具体的でバラバラな情報を有機的に総体として結びつけ、組み立てられることである。…

考えるということ

普段、なにげなく、「犬はかわいいね」などと言葉を交わすとき、「犬的ななにか」の共通点を漠然と思い描いている。この共通項を抜き出すことを「抽象化」という。「犬」といっても実に多種多様で、犬種だけでなく、年齢や性別、大きさ、毛並みなど、すべて…

論理の多様性

論理というのは筋道であり、その筋道に沿って流れていく言葉の群れに説得させられるか否かである。なにか対象を筋道を立てて考え、その立てた筋道を人に説明し、同時に相手の話を聞き、文章を読んで相手の筋道を理解していく。これがコミュニケーションであ…

ハロウィンに思うこと

ハロウィンが盛り上がりを見せている。渋谷での大混雑が話題となり、その経済的影響がバレンタインやクリスマスを超えたとか、あるいは本来はケルト民族の収穫祭だという本旨説明とか、マスコミやネットで取り上げられている。そうしたものを目にしているう…