学際知の地平

ポストモダン・ポストナショナル・ポストグーテンベルク・ポストヒューマンな時代に不気味な民主主義を考える

2015-08-01から1ヶ月間の記事一覧

「学府」を考える

「最高学府」という言葉にある「府」は、「中枢の役所」という意味である。国の中枢であれば「国府」、今は無き「東京府」、そしてかつての「京都府」、「大阪府」など、中枢機関には「府」がつく。東京は唯一のものとして差別化するため「都」に改められた…

ニュース難民

ここ数年の僕は、ニュース番組に飢えている。新聞やラジオから「ニュース番組」が絶滅した。 平日朝7時~9時は、出社する準備をしながらテレビを、出社する電車の中でラジオを視聴しているのだが、「ニュース」がないのだ。代わりに何をしているかといえば…

中国という民主国家

中国は民主国家である。こういうと首をかしげる人が多いかもしれない。だからこそだろう。中国共産党機関紙がフランスの新聞に鋭く反応している。フランス国際放送、RFIのニュースサイトで「今の平和主義の日本が、軍拡主義の中国に服従することはない。…

『意識高い系(笑)』追加記事

2015年8月27日(木)配信の『意識高い系(笑)』記事に関連して、東洋経済オンライン 8月29日(土) 6時00分配信の『志願者が殺到する「人気の大学」トップ100』の記事の中に興味深い報道を見かけたので、追記しておきたい。 「最近の入試では、就職を考えな…

モノの見方

モノの見方にはいろいろなものがあると思う。時にはこれが原因で対立したり、議論が平行線のままに終わってしまうこともあるだろう。相手を理解できないとか、「斜め上からの回答」という状況を生んでしまう。今日はそんなお話。 西欧の近代合理主義的な自然…

「意識高い系(笑)」

「モラトリアム人間の時代」(小此木啓吾 著、中公文庫)という本がある。初出は1977年である。モラトリアムとは、簡単に言えば「学生は社会人になることを猶予されている」という捉え方である。「学生のうちに遊んでおけよ」「学生のうちしか遊べないんだか…

全国統一『大学生』テスト

文系学問の質的低下を食い止めるには、どのようにすればいいのだろうか。 そもそも論を展開すれば、たとえば、法学部は法曹関係者を、文学部は文学者を、経営学部は経営者やコンサルタントを輩出するところである。医学部が医者を、薬学部が薬剤師を輩出して…

文系だ理系だとしゃらくせぇ

6月に文科省が「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて」(PDF)という文書を各国立大学法人へ通知した。18歳人口の減少を見すえ、教員養成系や人文社会科学系の学部について、「組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換に積極的に取り組むよ…

母国語の危機は知性の危機

明治維新の時、当時の日本人は外国から輸入される新しい思想や制度について、一生懸命に学んだ。それまでの日本に概念すら存在していなかったものを理解するためには、ものすごい苦労を必要としただろう。その苦労は、「雪」という単語を持たない赤道直下に…

経済学を簡単に

経済学からなにを学ぶか: その500年の歩み (平凡社新書) 作者: 伊藤誠 出版社/メーカー: 平凡社 発売日: 2015/03/16 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る 最近、経済学の再学習に励んでいる。民主主義と同じように、資本主義も再検討が必要とされる時…

アメリカ流『国民の育て方』

アメリカ大統領選挙のニュースが入り始めた。これから来年にかけて盛り上がりを見せてくるだろう。前々回選挙では,アメリカもずいぶんと寛容になったものだと感じた。移民で成立する人工国家は,民主共和両党ともに世界的には保守的であり,米国民も保守的…

ヒーロー渇望症候群

最近,甲子園での高校野球に関する報道を見ていて,本当に日本人はヒーローが好きなんだなぁと思う。野球は少なくともチーム戦のはずであるが,ある特定の選手以外は蚊帳の外である。ある活躍した高校一年生をして「~の夏,終わる」というタイトルの付け方…

命の価値を下げる行為

「学生ハンスト実行委員会」が、安保関連法案制定を阻止するために、現役の大学生たちによって8月27日(木)より国会正門前でハンガーストライキを決行することを発表した。 声明文 - 学生ハンスト実行委員会「僕らも生命をかけてやるという覚悟はある」と…

教育基本法

昭和天皇の学ばれた教育勅語 作者: 杉浦重剛,所功 出版社/メーカー: 勉誠出版 発売日: 2006/03 メディア: 単行本 購入: 5人 クリック: 23回 この商品を含むブログ (17件) を見る 日本の教育基本法は、明治維新の際に出された「教育勅語」が最初である(「教…

4つのポスト時代

もう10年近く前のことになるだろうか。放送大学の哲学講義を受けていて、4つの時代状況の認識について学んだ。その時代認識とは、①ポストモダン、②ポストナショナル、③ポストグーテンベルク、④ポストヒューマンである。 英語の接頭辞 "post-" というのは、…

「ドイツ帝国」が世界を破滅させる

「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告 (文春新書) 作者: エマニュエル・トッド,堀茂樹 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2015/05/20 メディア: 新書 この商品を含むブログ (15件) を見る なんとも衝撃的なタイトルだが、ドイツを話題の中心と…

保守主義について

保守主義といえばバークではあるが、オークショットも外しがたい。今年のお盆の時期を利用して、ざっと3冊に目を通した。現在の日本で保守派といえば、コテコテに飾り立てたゴテゴテした保守主義者が目立つ。学生時代に学生運動に没頭した人が保守へ転向し…

不思議なイギリス

ふしぎなイギリス (講談社現代新書) 作者: 笠原敏彦 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2015/05/20 メディア: 新書 この商品を含むブログ (2件) を見る 大学院修士課程での僕の専攻は『イギリス政治』だった。当時の僕はなぜ人口6,500万余りの小さな島国が大…

思想が先か制度が先か

「思想が制度を造るのか、制度が思想を産むのか」という問いかけは、「ニワトリが先か卵が先か」という問いかけと同じく、不毛なことなのかもしれない。ある考えに基づいて制度が造られるのか、逆に制度が成立してのちに思想が産まれてくるのかというプロセ…

8月15日零時より更新開始予定

当ブログは2015年8月15日(土)零時より更新を開始する予定です。 世の中を疑って観察し、歴史やら経験やらを重視し、もって現代世界・社会を保守点検しようと試みるブログです。 また、読書録としての性格も持たせて、読んだ本の書評なんぞも載せていく予定…