学際知の地平

ポストモダン・ポストナショナル・ポストグーテンベルク・ポストヒューマンな時代に不気味な民主主義を考える

2015-01-01から1年間の記事一覧

生活保護の精神

10月9日、神奈川県議会県民企業常任委員会で、朝鮮学校に通う児童・生徒へ直接支給する学費補助金を受給している生活保護の5世帯のうち、4世帯が計約52万円を、年収250万円未満の非課税世帯の49世帯のうち45世帯が計約841万円を朝鮮学校に納付していたこ…

中国の粗が目立つ

ここ3日間ほど、熱にうなされていた。昨日からようやく回復基調に乗った。咳は先週木曜あたりからだったので、ほぼ一週間の風邪っぴきさんとなった。年を取ると年々、病気からの回復に時間を要するようになる。健康には留意しなければとの思いをますます強…

TPPの陰に

環太平洋戦略的経済連携協定(Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)、通称TPPが昨日、大筋合意した。これで世界のGDPの4割に相当する地域が自由貿易圏を形成することとなった。農業分野で日本が悲鳴を上げると報道されているが…

思うことと考えること

「~と思う」というのと「~と考える」は、あまり意識できていないことだが、実際には多くの人がこの2つを使い分けている。英語で "think" と引けば、「思う」も「考える」もともに訳語として載っている。しかし、これはともに同じ事象を指すとはならない。…

言葉は思考のツール

あまりにも当たり前のことかもしれないが、考えることは言葉の営みである。一人で考え事をしていようとも、頭の中では基本的に言葉で考えている。だから、語彙が少なければ、自然と思考は粗雑にならざるを得ない。考えるということを支えているのは、語彙の…

考える作法

昨日の投稿で、「考える作法」はまた別のお話と書いたので、今日はその作法について書いてみたい。 「考える」とは論理的思考のことで、具体と抽象を往復することである。こう書くと難しく感じるかもしれないが、日常生活の中で普通にやっている。 ここで、…

道徳の定規化

文部科学省は今日30日、官報で道徳の教科化に伴って改正した教科書検定基準を告示した。7月に改正案を公表し、パブリック・コメントを募集していたが、文言の変更はなく、改正案のまま決定となった。631件の意見が寄せられたが、そのすべてが道徳の教科化や…

経済学は思想

経済学を学べば学ぶほど、経済学は「思想」なんだなぁとよく思う。どういう社会にしたいかという希望に従って論理を組み立て、説得力ある説を展開する。マルクス経済学やケインズ経済学、フリードマン経済学など、その想定する「理想社会」が異なる。だから…

トゥキディデスの罠と国際秩序

紀元前5世紀、新興のアテネと、それに対抗する既存勢力のスパルタとの間にぺロポネソス戦争が起きた。ここから歴史家のトゥキディデスは「新興の大国は必ず既存の大国へ挑戦し、既存の大国がそれに応じた結果、戦争がしばしば起こってしまう」との法則を見…

消えた祭日

今日は「秋分の日」。これは本来は皇室祭祀の一つ、「秋季皇霊祭」である。皇室祭祀由来の休日は他に、「春分の日」が「春季皇霊祭」、「昭和の日」(4月29日)が「昭和節」、「文化の日」(11月3日)が「明治節」、「勤労感謝の日」(11月23日)が「新嘗祭…

反知性主義

最近、「反知性主義」という言葉をよく耳にする。「反-知性」と「主義」という言葉の組み合わせで、「主義」というからには一定の信念を含む概念であろう。その含む価値観は何かというと、「反知性」、すなわち「バカ」である。「知性に反対する」と言うだ…

仏の話に耳を傾けよ

まぁ、なんというか、宗教家は世俗のことに口出ししないほうがいいと思う。宗教の世界に生きていれば「いい話」をする人で終わるのだろうが、政治の話を「法話」として語ってくるのであれば、それは仏教への冒涜であるように感じる。世俗の話として、この「…

国民の姿は国会議員の姿

まずは産経新聞の記事を見てほしい。 ここで注目したいのは、「衛視から『示威行為に当たる』として注意を受けた」点である。山本太郎議員による喪服&数珠&焼香の物真似はパフォーマンスと報道されたが、これもデモンストレーションであり、「示威行為」で…

安保関連法案の論点整理

今般の安全保障関連法案がなにか、不明な人も多いことだろう。もっとも、こんなに国民的議論になっている安全保障関連法案を知らない人が多いのは不思議でもある。賛成派も反対派も何に賛成し、反対しているのか、不明なままに意思表示をしているような感す…

デモはデモでもデモ違い

安全保障関連法案をめぐって、国会周辺で、あるいは日本全国あちこちでデモが行なわれている。多く報道された場面で、「国民の声を聴け」とか「国民の声を無視するな」と叫び、反対として集まった群衆の大きさを誇張して伝えていた。17日に参議院の委員会を…

21世紀の自然状態

鬼怒川が決壊した常総市に本社を置く菓子メーカーの駄菓子や、農林水産省が14年12月に発表した平成25年農業産出額で6年連続全国2位を獲得した茨城県の野菜や果物を「食べて支援しよう」という動きがツイッターで広がっているという。現地に赴いてのボラン…

祝!一ヶ月!

8月15日にスタートした当ブログも今日で丸一ケ月を迎えることができた。その間、立ち上げ当初の訪問者数を確保するために毎日投稿してきた。おかげさまで総アクセス数を日数で割ると、一日あたり30~50の訪問者数を迎えるまでに成長した。設置したアクセス…

人類の壮大なる実験

今年だけでヨーロッパに流入した難民の数は、45万人に及ぶという。この数字のすごさは比較を通してより明らかとなる。 東京都江東区の人口は23区中8位の46万人、東京都葛飾区の人口は同9位の44万人である。日本で一番人口の少ない都道府県は、鳥取県の57万…

立法の仕事と司法の仕事

今回の安全保障法案をめぐる一連の議論を見ていると、抽象的論議の限界を感じる。 「集団的自衛権」「限定的な行使を容認」「我が国の存立が脅かされる事態」などをめぐって、定義が問題になっている。たとえば、負傷した他国の軍人を日本の病院施設に収容す…

モラールのある社会

「モラール」を辞書で引くと、「集団を構成する成員たちの多くが,その集団に対する信頼,集団内での自分の役割についての自信,集団目標に対する熱意,集団への忠誠心などを持っているような集団内の心理的状態。本来,軍隊用語では士気という」とある。つ…

儚いほどの主権者

「国民主権」「主権在民」とは、日本の政治の在り方を規定した概念である。すなわち、「国の権力は国民が持ち、政治は国民によって行なわれる」ということである。これを一言で「民主政治」という。 さて、ここで少し立ち止まって考えてみよう。 「主権」と…

非礼な意見表明

今、安保法案が巷間の話題に上っているが、少し整理してみたい。 基本的に賛成派・反対派の主張は平行線である。お互いがお互いを「分からず屋」と思っていることだろうと思う。それは同じ現象をどう捉えるかという価値観と視座の問題だからである。テレビで…

ダウントン・アビー

僕の大好きなイギリスのドラマ『ダウントン・アビー』をめぐって、「シネマ・トゥディ」が次のように報じた。 最終シーズンを迎えるテレビドラマ「ダウントン・アビー」は、エリザベス女王をもとりこにしているとPeopleが報じた。 「アット・ホーム・ウィズ…

イデオロギーの終焉

ダニエル・ベルが1960年に刊行した「イデオロギーの終焉(The End of Ideology)」では、先進資本主義諸国における「豊かな社会」の到来とともに、階級闘争を通じた社会の全面的変革なる理念はその効力を失ったとされた。ベルやシーモア・M・リプセットを代…

大人の学び

最近、書店で大人のための「学び直し」がブームのようである。山川出版の「もう一度読む」シリーズがブームの発端であろうか。 もういちど読む山川世界史 作者: 「世界の歴史」編集委員会 出版社/メーカー: 山川出版社 発売日: 2009/09 メディア: 単行本 購…

生き延びる知恵

『孟子』の一節に「以小事大」(=小を以って大に事える)というのがある。そこには小国の越が呉に仕えた例が知恵として書かれている。つまり、大国を相手取った「小国のしたたかな外交政策(知恵)」である。しかし、後世になると、「小国はその分を弁えて…

矛盾だらけの人々

中国で抗日戦争勝利70周年を記念した行事が取り行われた。アチコチに突っ込みどころ満載で、なにからどう書けばよいやらという感じだ。まずは、記念撮影を見てもらいたい。 真ん中に習近平国家主席夫妻が「鎮座」し、左にロシアのプーチン大統領、右に韓国の…

なんか気持ち悪い

9月3日、次の二つのニュースに触れて、気持ち悪さを感じた。 オバマ大統領 戦後の日米は「和解の模範」 NHKニュース “最新兵器”パレードで 習政権の力、内外に誇示 “最新兵器”パレードで 習政権の力、内外に誇示“最新兵器”パレードで 習政権の力、内外に誇…

ネットの力

オリンピックのエンブレム白紙撤回問題を巡って、ネットの力が発揮されたという。このあたり、正直なところ、僕はまだ現実に追いつけていない。 ネットの力では、2010~2011年に起きた「ジャスミン革命」がすぐに思い浮かぶ。チュニジアで一人の青年の焼身自…

カラスへの名誉棄損

「烏合の衆」という言葉がある。この言葉を使おうと思って、ふと立ち止まった。この表現は、カラスが集まってカァーカァーとやかましい状況を指し、そこから規律も統制もなく、ただ寄り集まっただけの役立たずの群集や軍隊のことを意味するようになった。 当…