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学際知の地平

ポストモダン・ポストナショナル・ポストグーテンベルク・ポストヒューマンな時代に不気味な民主主義を考える

英保守党の党首選

政治論考

退院からおよそ2週間が過ぎた。最初の1週間は自宅で安静にしつつ、毎日、散歩に出かけた。9日間の入院生活だったが、思ったよりも体力が低下していた。散歩から帰宅したら、いつの間にか昼寝というのが日課になっていた。そして、今週から仕事に復帰し、滞っていた仕事をこなし始めた。昨日までは起き上がれなかったものが今日はすんなりと起き上がれるようになり、歩くと響いていたものが小走りでもなんともなくなり、日に日に回復していく人間の体のすごさを実感した。しかし、ブログは停滞していました。こちらにも復帰していきたいと思います。

さて、英国のEU離脱問題が取り沙汰されていますが、キャメロン首相が辞意を表明し、離脱交渉は次期首相に任せるとしたことから、英保守党はにわかに党首選挙へと進みました。離脱派のジョンソン前ロンドン市長が盟友ゴブ司法相の裏切りを受けて不出馬となり、そのゴブ司法相も「裏切り」のイメージから党首選から脱落し、現在、テリーザ・メイ内相とアンドレア・レッドソム・エネルギー担当閣外相という、女性候補2人の決選投票一騎打ちとなった。

どちらの候補が勝利を収めるにせよ、サッチャー元首相に次いで2人目の女性首相となる。僕の学究生活のスタートがサッチャー研究であったことからも、僕は興味を持ちつつ、今、この情勢に注意を払っている。とはいえ、日本ではあまり有名でない2人なので、今回は少し紹介をしたい。

テリーザ・メイ内相は、今のところ、優勢にある。中流階級出身で、父は牧師、自立心が人一倍強い子供であったという。生い立ちと性格的にはサッチャー元首相に非常によく似ている。警察の予算削減については、大勢の警官と面と立ち向かって妥協しないタフさを持っている。政界に入る前はイングランド銀行で働き、経済については詳しい。気難しいが優秀と評判であるが、この気難しさは信念の表れとも言える。「氷の女王」というニックネームがある。

EU離脱投票においては残留派であった。同性婚法案には賛成を投じている。英国内にいるEU移民が今後も英国内に留まれるかどうかは今後の交渉次第としている。そして、最低賃金と産休手当の完全保証を掲げている。

一方のアンドレア・レッドソム・エネルギー担当閣外相は、中央政界での歴史は浅く、6年前に議員生活をスタートさせている。新米議員であることを自覚し、優秀な人材を広く求めている。オズボーン財務相の庇護を受けて政界で活躍してきたが、EU離脱投票においてはオズボーン財務相と対立して離脱派になった。

すでに英国内にいるEU移民は今後も英国内に留まるべきと主張している。中小企業における最低賃金や産休制度は支持していない。同性婚法案への投票は棄権している。

この2人の決選投票は、9月9日である。ドイツのメルケル、合衆国のクリントン、そして英国の首相と、主要国のリーダーに女性が増えていきますねぇ(クリントンは時期尚早でしょうか)。一方で、この保守党党首選を巡るゴタゴタや米大統領選、EUのゴタゴタを見ていると、世界各地で政治家が小粒化しているように感じます。もちろん、先進民主主義国が内向き、劇場化していることが背景にありますが、これはまた投稿を改めて述べたいと思います。