学際知の地平

ポストモダン・ポストナショナル・ポストグーテンベルク・ポストヒューマンな時代に不気味な民主主義を考える

電車へGO

さて、世界中で旋風を巻き起こした「ポケモンGO」が日本でも配信され、大きな話題となっている。経済効果や引き籠り外出効果など、プラスの要素がかなり大きな要素として伝えられている。

しかし、世界各国同様、マイナスな要素も発生している。名古屋市で「ながら自転車」でひったくり被害、岐阜市で「歩きスマホ」で高速道路侵入、倉敷市で「ながら自動車運転」で3人逮捕、札幌市で「ながら自転車」同士で衝突、他にも佐賀県兵庫県宮城県で道交法違反で各一人逮捕など、事件・事故が相次いでいる。立ち入り禁止地区や私有地への無断立ち入りなどの犯罪も発生しているという。まだ聞かないが、そのうち、駅ホームでの歩きスマホによる「電車へGO」が発生するかもしれない。

僕は、どこかの外国であったような、崖から落ちて転落死のようなケースは、自己責任で問題をあまり感じないが、道路上を含む公共交通機関等での事故には納得がいかない。たとえば、赤信号で交差点に進入した場合、あるいは道路に飛び出してきた場合、それでも車が100%悪いとなる。常識的には加害者なのに被害者となり、常識的には被害者が加害者となって、最悪のケースでは、自動車運転者の人生が潰える。

幹線道路で順調に時速50キロで走っているところに交差点とはいえ飛び出してきたらブレーキも間に合わないだろう。それでも前方不注意というなら、常に時速20~30キロ前後で走らねばならず、円滑な交通は維持できない。高速道路でも歩行者が侵入してくるかもしれないなどと警戒していたら、高速走行は不可能である。バカバカしい限りだ。「電車へGO」にしても、何百万人の足が乱れることを考えれば、迷惑きわまりない。

個人の自宅が「ポケモンGO」のスポットになっていたり、公園や庭園、お店などがスポットに指定され、元々の利用者が迷惑を被る。個人の自宅はもちろん、利用料金を取る公園・庭園やお店などはゲーム会社を訴えてもいいように思う。了解なく勝手に指定しているのだから。店舗などは、元々の利用者を大切にしないで一時的な目先の利益を狙うなら、去った常連客は戻ってこなくなる。アメリカでは自宅内に侵入した人に発砲をして追い払ったというが、その怒りは理解できる。

他人の被る迷惑を考える、世間の目を気にするといった「社会性」が低下しているのだろう。「社会性」は人間生活の基本である。熱しやすく冷めやすい国民性ゆえ、一日も早くブームが去り、平穏な日々が戻ってくるよう、切に願う次第である。