学際知の地平

ポストモダン・ポストナショナル・ポストグーテンベルク・ポストヒューマンな時代に不気味な民主主義を考える

米大統領専用車

伊勢志摩サミットが始まるのに合わせ、オバマ米大統領の専用車も日本にやってきた。今回は、その車についてメモを残しておきたい。あちこちからの情報のツギハギになるが、メモを残す価値はあるだろう。まずは外観である。

f:id:tribnia:20160525125751j:plain

立派な車である。キャデラックという車種がベースだそうだ。ベースというからには、特殊な仕様になっていることは想像に難くないが、まずは次の写真を見てもらおう。

f:id:tribnia:20160525125807j:plain

ドアの厚みがすごい。厚さ20センチの装甲板仕様で、飛行機のボーイング757の客室扉ほどの重さがあるということだ。付属する窓の防弾ガラスは、厚さ20センチ以上で、そのあまりの厚さゆえに十分な自然光が取り入れられないため、天井の内張り内に蛍光照明装置を備えているほどだという。CAL50 12.7mm や14.5mm級の重機関銃弾(徹甲弾)が停弾可能だそうだ。銀行にある大金庫の扉に等しい。

運転手用窓は唯一、開くことが出来る窓(8センチだけ開く)で、破裂弾や44マグナム弾にも耐えられる。運転手が通行料金の支払いをしたり、並走している大統領護衛官と言葉を交わすことが出来る。

室内は、化学兵器の攻撃を想定し外気を完全に遮断する加圧式の空気供給システムを搭載しており、座席は最大7席で、最後部座席は大統領+1人が座る2つの座席でリクライニングができるようになっている。また、核のボタンはもちろん地球上どこでもネット通信・電話が利用できる最先端の暗号化衛星通信システムが装備されている。そして、緊急事態に備えて、大統領自身の血液も保管されているとのことだ。

タイヤは、スティール縁に防弾、防パンク補強したランフラットタイヤで、仮にタイヤが爆破されたとしても、時速80キロ程度で50キロ程度は走行が可能なため、襲撃現場から脱出できるようになっている。車体は、厚さ13cm以上の装甲板で、二枚重ねの鋼鉄、アルミニウム、チタン、セラミックを組み合わせ、強力な発射体も粉砕できるようにしてあるらしい。車体下部も、爆弾や手榴弾の爆発にも耐え得るよう、強化鋼鉄板を張っている。燃料タンクは、装甲板と直撃されても爆発を防ぐ特殊な発泡体で覆われている。また、トランクには酸素供給システムおよび消火システムが装備されているという。

暗視カメラと連射式ショットガン、さらに催涙ガス砲も装備している。ロケット弾が車体に命中し爆発することによリ生成されるメタルジェットを瞬時に天井や床へ導き、車内に及ぶ事を防ぐシステムが搭載されており、最新型戦車の砲塔部分と同じ構造になっているのだとか。RPG-7等のロケット弾にも耐えられるらしい。

そんな車の車長は、5.5メートル、車高は1.8メートル、重量は8トン、エンジンはディーゼル駆動である。お値段は約1億4千万円以上。しかし、最高速度は96km/hで、燃費は2.8km/リットルの、財布にも環境にも厳しい車である。

乗ってみたい気もするけれども、こうまでして命を守らなければならない立場にはなりたくないですねぇ。