学際知の地平

ポストモダン・ポストナショナル・ポストグーテンベルク・ポストヒューマンな時代に不気味な民主主義を考える

中国の粗が目立つ

ここ3日間ほど、熱にうなされていた。昨日からようやく回復基調に乗った。咳は先週木曜あたりからだったので、ほぼ一週間の風邪っぴきさんとなった。年を取ると年々、病気からの回復に時間を要するようになる。健康には留意しなければとの思いをますます強くした。

さて、英ファイナンシャル・タイムズによると、南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島内に中国が人工島を造成した件で、米国は今後2週間以内に、中国が主張する12カイリの領海内に艦船を派遣する見通しだという。軍事的緊張がきわめて高まる。

懸案の人工島は、そもそも低潮高地ないし岩礁地帯であり、そこを大量の土砂で埋め立てたものだ。国連海洋法条約によると、「島」は領海、大陸棚、排他的経済水域を持つとし、「岩」は領海を持つものとし、「低潮高地」(満ち潮の時に海中に没する)と人工島はいずれも持たないとしている。

2015年8月6日にマレーシアで開かれたASEAN地域フォーラムの閣僚会合で、日本の岸田外相が懸念を表明したところ、中国の王外相は日本にだって沖ノ鳥島があるじゃないかと反論した。たしかに、沖ノ鳥島は周囲をコンクリートで固めたまともでない場所である。異様だなと正直、感じる。沖ノ鳥島には「島」なのか「岩」なのかの議論があり、中国とこれでもめてもいるが、いずれにせよ領海を持つということに変化はない。沖ノ鳥島南沙諸島での埋め立てと同じく、「人工島」だと指摘してきた王外相の発言は、従来の中国政府の公式見解と異なっている。

南沙諸島の懸案の場所は中国、台湾、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイがその一部または全域の領有を主張している紛争地域でもある。岩礁地帯とも言われている場所ではあるが、中国が今回埋め立てた面積は、東京都文京区に匹敵するほどである。しかも、そこに滑走路を敷設している。領有権争いのない、9.44平方メートルの沖ノ鳥島を引き合いに出すのは、少々苦しい。

先日の訪米での中国外交を見てはいたが、やはり質的低下を起こしていると思う。また、習近平主席の軍人削減案は急な発表で軍部の反発を呼ぶとも言われている。AIIBでの失速や、日本の新幹線をなりふり構わず排除したインドネシアでの高速鉄道計画でも、やや粗が目立つ。何を焦っているのか。中国崩壊の日が近いのかもしれない。