学際知の地平

ポストモダン・ポストナショナル・ポストグーテンベルク・ポストヒューマンな時代に不気味な民主主義を考える

哲学思想

反省するということ

一週間ぶりの更新である。やや日常の忙しさにかまけて、ブログから遠ざかってしまっていた。このことを反省する意味でも、今回は反省ということを考えてみようと思う。 われわれの精神活動では、後ろを振り返ってよくよく思い患うという表れ方をすることが非…

鳥瞰図の入手方法

頭がいいっていうのは、鳥瞰図(長期的ないし大局的なものの見方)を頭に描きだせることである。一つの事象を聞いて、他の9つのことに思考を巡らせられることである。個別具体的でバラバラな情報を有機的に総体として結びつけ、組み立てられることである。…

考えるということ

普段、なにげなく、「犬はかわいいね」などと言葉を交わすとき、「犬的ななにか」の共通点を漠然と思い描いている。この共通項を抜き出すことを「抽象化」という。「犬」といっても実に多種多様で、犬種だけでなく、年齢や性別、大きさ、毛並みなど、すべて…

論理の多様性

論理というのは筋道であり、その筋道に沿って流れていく言葉の群れに説得させられるか否かである。なにか対象を筋道を立てて考え、その立てた筋道を人に説明し、同時に相手の話を聞き、文章を読んで相手の筋道を理解していく。これがコミュニケーションであ…

あるべき姿

政治家、教師、警察官など、普通よりも高い倫理観を求められる職業がある。政治家は人を拘束する法を作るから、教師は人を指導するから、警察は人を取り締まるから、というのが理由であろう。他人のことをとやかく言うわけだから、「おまえが言うな」と言わ…

性格の受容

ある集団の中における個人を見ていると、ふと気づくことがある。その人には持って生まれた役回りがあるのだなぁ、と。 いい年をした大人ばかりが集まった会社組織の中でも、この人は小中高時代のクラスでも、こんなんだったんだろうなぁと容易に想像ができて…

無縁社会は人間社会の崩壊

人間は、集団の中で生きる社会的動物である。そこには当然のごとく、役回りが存在する。群れで生活する動物においても、同じように役割を持ち、分業をして生きている。ただし、人間社会は複雑な構造を持つに至り、なかなか互いの支え合いに気付けないでいる…

差別はダメ

女性は離婚後6か月間、再婚を禁止するとの民法の規定に阻まれ、結婚ができず、生まれた子どもの戸籍は無関係の前夫の戸籍に入るという事態が起きた。この悩みを抱えた交際中の20代の男女が15日、民法の規定は憲法に違反するとして、国に損害賠償を求める裁…

自己規定のススメ

「自己規定」という言葉をご存じだろうか。簡単に言うと、「私は何者なのか?」という問いへの答えを自ら生み出すことである。アイデンティティの自覚的確立である。商品などで言えば「コンセプト」に該当するものであり、そのものの性格をズバリ決めるもの…

読書をめぐる考察

町の本屋が消えている。「本屋が町に一つもない」という市町村は全自治体の約2割にあたる330自治体に及ぶ。大型書店の進出だけでなく、ネット書店やネット・メディアの充実もあって、品揃えに負ける町の本屋は衰退の一途にある。本屋を訪れる趣味のある僕に…

思うことと考えること

「~と思う」というのと「~と考える」は、あまり意識できていないことだが、実際には多くの人がこの2つを使い分けている。英語で "think" と引けば、「思う」も「考える」もともに訳語として載っている。しかし、これはともに同じ事象を指すとはならない。…

国民の姿は国会議員の姿

まずは産経新聞の記事を見てほしい。 ここで注目したいのは、「衛視から『示威行為に当たる』として注意を受けた」点である。山本太郎議員による喪服&数珠&焼香の物真似はパフォーマンスと報道されたが、これもデモンストレーションであり、「示威行為」で…

立法の仕事と司法の仕事

今回の安全保障法案をめぐる一連の議論を見ていると、抽象的論議の限界を感じる。 「集団的自衛権」「限定的な行使を容認」「我が国の存立が脅かされる事態」などをめぐって、定義が問題になっている。たとえば、負傷した他国の軍人を日本の病院施設に収容す…

儚いほどの主権者

「国民主権」「主権在民」とは、日本の政治の在り方を規定した概念である。すなわち、「国の権力は国民が持ち、政治は国民によって行なわれる」ということである。これを一言で「民主政治」という。 さて、ここで少し立ち止まって考えてみよう。 「主権」と…

モノの見方

モノの見方にはいろいろなものがあると思う。時にはこれが原因で対立したり、議論が平行線のままに終わってしまうこともあるだろう。相手を理解できないとか、「斜め上からの回答」という状況を生んでしまう。今日はそんなお話。 西欧の近代合理主義的な自然…

「意識高い系(笑)」

「モラトリアム人間の時代」(小此木啓吾 著、中公文庫)という本がある。初出は1977年である。モラトリアムとは、簡単に言えば「学生は社会人になることを猶予されている」という捉え方である。「学生のうちに遊んでおけよ」「学生のうちしか遊べないんだか…

4つのポスト時代

もう10年近く前のことになるだろうか。放送大学の哲学講義を受けていて、4つの時代状況の認識について学んだ。その時代認識とは、①ポストモダン、②ポストナショナル、③ポストグーテンベルク、④ポストヒューマンである。 英語の接頭辞 "post-" というのは、…

保守主義について

保守主義といえばバークではあるが、オークショットも外しがたい。今年のお盆の時期を利用して、ざっと3冊に目を通した。現在の日本で保守派といえば、コテコテに飾り立てたゴテゴテした保守主義者が目立つ。学生時代に学生運動に没頭した人が保守へ転向し…