学際知の地平

ポストモダン・ポストナショナル・ポストグーテンベルク・ポストヒューマンな時代に不気味な民主主義を考える

香港のデモについて

今、香港で起きているデモは、民主主義と自由主義を守る戦いである。前回の投稿記事で書いたように、民主主義と自由主義には「人民の武装」がセットになっている。政府の横暴に対して武力を持って反抗していった経緯がある。だからこそ、米国では民間人によ…

日本と韓国と

民主主義と自由主義の発祥はフランス革命(1789年5月5日~1799年11月9日:寛政の改革が行なわれている頃)に求められる。そのとき、民衆は武装をして政府に立ち向かい、「民権(人民主権)」を勝ち取った。欧州において、国家主権を国王(旧体制)から引…

歴史に学ぶ

第一次世界大戦以降、戦争による甚大な被害や総力戦となった壮絶さへの恐怖から、世界は平和を希求し、とりわけヨーロッパでは「あらゆる戦争に対して無条件に反対する」というような風潮が生まれた。そして、第一次世界大戦への反省と平和主義から、国際連…

AIのつくる未来

今月初頭、人工知能(AI)分野の人材育成を進めるため、文部科学省は今秋、全ての大学でAIの基礎を学ぶことができるよう全国共通のカリキュラム(教育課程)を作成すると発表した。ビッグデータ活用を学ぶ大学の事例などを参考に文系、理系の枠を超えた…

令和元年5月14日配信の記事について

2点ほど追記しておく必要性を感じた。 1つめは日本維新の会の丸山穂高衆議院議員に関することである。この件に関して、あくまでも僕は「言論の自由」を封殺してはならないという意味で、「極端思考」を受容しようということであり、丸山議員の議員たる資質…

思考実験は非現実的でよい

日本維新の会の丸山穂高衆議院議員の発言が問題になっている。少し引用しよう。 北方四島の「ビザなし交流」の訪問団に参加した日本維新の会の丸山穂高衆議院議員は訪問団のメンバーに「戦争で島を取り返すことには賛成か反対か」などと質問したことについて…

安定的な皇位の継承について

元号も「令和」に改まり、剣璽等承継の儀や即位後朝見の儀などの即位に伴う一連の儀式も始まった。テレビで映像を見ていると、天皇陛下の脇侍として、秋篠宮文仁親王殿下、常陸宮正仁親王殿下のお二人しかおられなかった。昭和から平成への御代代わりでは6…

ぼんやりとした世界

『大人の対応力』(齋藤孝 著)が売れている。職場や友人関係などの人間関係に悩む人向けに「質の良い大人」という「社会人らしい生き方」を伝授してくれるらしい。新時代に必読の「教科書」らしい。いわく、「ユーモアを持つ」、「グレーゾーンを残す」、「…

プロや職人の衰退は社会の衰退

「本職に任せる」とか「本職にはかなわない」というような表現がありますが、これはそれを専門とする人、玄人(くろうと)の取り組みにはかなわないという意味である。本来的には「本職」とは「その人がおもに従事する職業」であるが、上述したような表現の…

新元号 解題

新元号 早速にも練習をしてみました。「令」の字はなんともバランスの取り方が難しい。「和」のほうはいくぶん慣れている字でした。二番煎じ、三番煎じになることを覚悟の上で、改元を記念して備忘録として1つ記事を投稿しておきたい。 初春の令月(れいげ…

学習指導要領に見る社会の変遷

仕事にかまけてブログ更新をサボってきました。およそ2ヶ月ぶりの更新となります。年度末の忙しさは悲惨ですね。さて、この2月と3月は大学や専門学校の教員と交流し、また教員研修の講師としても活動をしてきました。この中で感じてきたことを今回は題材…

「老害」を考える

「老害」と一発で変換されたことにも驚くが、ウェブでその意味を引くと、「自分が老いたのに気づかず(気をとめず)、まわりの若手の活躍を妨げて生ずる害悪」と出てくる。当初は耳慣れない言葉であったが、その「害悪」が表面化・顕著化するにつれ、おそらくは…

世代間で継承されていくもの

一昨日の記事と昨日の記事は、ともに人物重視についての内容であったが、結局のところ、僕は何が「人物」なのかについて明言していない。当然、どう伸ばすか育てるかという議論も為されていない。今日の記事ではこのあたりについて述べてみたいと思う。 「あ…

人物試験というナンセンス

昨日の投稿記事に続いて、今日は人物試験なるものについて考えてみたいと思う。 昨日の記事の中で、僕は平成時代に進んだ人物重視傾向の教育および就活(採用)についての流れを説明し、しかし、人物重視ということ自体はエリート層においては戦前からも続く…

新しい時代へ

新年、あけましておめでとう。今年もよろしくお願いします。 「平成最後の~」というフレーズ、ほんと、メディアは好きですね。この数週間で何度聞いたことか。ちなみに、通常時であれば、メディアは「初の~」が好きですね。ひどい時には「※※を除けばこれが…

一年を振り返って

今日、本棚の整理をした。今年一年で読んだ本は32冊(小説の38冊と併せるとちょうど70冊になる)。ペースは学生時代に比べて落ちたとはいえ、まだまだ読んでいるものだと感じていたんですが、今日の整理を通じて発見がありました。 ハードカバーの本は7冊だ…

「教養」とは何か

歳末になると、「教養」を特集に取り扱った雑誌などが増えてくる。「教養」を広く浅く解説したり、入門となる書籍を紹介したりといった具合である。長期休暇を前に一念発起する人が多いのだろう。しかし、なぜ「教養」を身に付けることを人々は求めるのだろ…

文章は書くのではなく書かれるものである

聞いた話で恐縮だが、英国の幼稚園で騒いでいた園児を静かにさせようと、若い先生が「静かにしなさい!」と叫ぶ。すると、園児たちはそれに負けないくらい大きな声になって騒いだ。そこにベテランの先生が現れ、園児たちに向かって「レイディーズ・アンド・…

トップに必要なものは何か

とあるブログで紹介された。そこでは「トップの仕事は総称して判断。判断とは全知識の総体」とあったので、今回はそれについて考察してみたい。 判断力というのは、哲学的には「特殊を普遍のもとに関係づける能力。普遍が与えられていて、それに特殊を包摂す…

思想・思考という木から落ちる言の葉②

さて、昨日の『思想・思考という木から落ちる言の葉①』の続きです。昨日の投稿で例に出したようなものは、言葉の伝えるニュアンスが「単語が異なる」ために非常に分かりやすい例でした。今日は同じ表現を用いながらも「異なるニュアンス」を持つ厄介な「単語…

思想・思考という木から落ちる言の葉①

1ヶ月ぶり以上の更新である。 僕は常日頃から「言葉を大切にして文章を書こう」と言っています。それは、「文章を書く」という行為そのものが「小さな思考」の表出であり、その小さきものの積み重ねが「思想」になると思っているからです。逆説的ですが、思…

日々是更新

昨日、弟子の一人と話をした。いわく、「僕の今の原則は先生から教わったこと」だという。卒業・就職して3年、25才になった市役所職員である。少し遠くにいるので、なかなか会うことは出来ない。しかし、今もこうして仲良くしている。今回の話の中で、「7…

志望動機の書き方

就職活動における学生の志望動機書を添削していると、最近の若者の傾向が分かる。そんな中でも、とくに2つのことが気になっているので、今回はそれらについて書こうと思う。 1つめは、「人目を気にしすぎること」です。志望動機とは、志すこと・望むことの…

ムラ社会とグローバル世界

今回は政治的に微妙な話題となることを最初に申し上げておく。そして、いわゆる「差別」意識なく率直に思うところを述べていくので、そういう前提で読んでいただけたらと思う。 先日、大阪なおみ選手がテニスの4大大会「グランドスラム」で優勝した。興奮し…

批判のための批判

政治家やテレビのコメンテーターの発言を聞いていると、その発言の意味するところを理解していないのか、いわゆるブーメラン発言が目立つようになって久しい。しかし、もっと近いところでは、あまりにも発言が無責任であることも目立ってきたように感じる。 …

モラル・ハザード

最近の不祥事を見ていると、「モラルが崩壊している」の一言に行き着くのではないかと感じている。文科省贈収賄、自民党総裁選、沖縄基地問題、東京オリンピックのボランティア問題、銀行員不祥事、東京医科大、大相撲や日大やボクシングなどのスポーツ、大…

名誉が重んじられる社会に

8月6日に投稿した記事に関連して、今日8日の読売新聞に同様の趣旨の記事が載った。「時代の流れに逆行」との批判もあろうが、実際の医療現場で女性医師の職場離脱が問題であると指摘した小欄の記事を追認してくれる記事である。 しかし、その後の報道を見…

問題の本質

東京医科大学の入試において、女子受験生や3浪している受験生に対して一定の得点操作をしていたことが発覚した。試験は公平に行なわれることが大前提であり、これに対する大学側の対応に非難が集まっている。大学からの反論は、女性医師は職場離脱をしてし…

人文諸科学を学べ

最近、IoTやAIについて学ぶ機会があり、なんとなく自分の中でイメージが固まってきたので、今回の記事ではそれを記しておきたい。 今、世界は第4次産業革命の中にいるとされている。第4次産業革命という言葉自体は、ドイツが2012年から打ち出している技…

餅は餅屋へ

池上彰氏が6日、『文春オンライン』(文藝春秋社)のコーナー内で、ニュース番組に芸能人が出演していることについて苦言を呈した。30代会社員から「最近はテレビのワイドショーや報道番組にジャニーズ(事務所所属のアイドル)をはじめ、たくさんの芸能人が…